先進医療について

先進医療について

 先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養等であり、医療の効率的な提供を図る観点から、将来的な保険導入のための評価対象となる医療技術です。
 先進医療は一般の保険診療との併用が認められているため、治療費用のうち先進医療の部分は個人負担(保険適用外)になりますが、診察料・検査料・投薬料・入院料などの保険診療については健康保険が適用されますので、治療を受ける方の負担が軽減されるように配慮されております。
 本院では、次の医療について承認を受け、実施しております。

1.インターフェロンα皮下投与及びジドブジン経口投与の併用療法(血液内科)

 成人T細胞白血病・リンパ腫(以下ATL)は、本邦では九州・沖縄地方、世界的には中央アフリカやカリブ海沿岸部などに多く発生する疾患です。HTLV-1と呼ばれるウィルスにより引き起こされることが知られていて、このウィルスの保有者は日本では120万人世界では1,000~2,000万人と推定され、その約5%がATLを発症すると言われております。ATLを発症すると大部分が白血病に移行し、抗がん剤が効きにくかったり、寛解(見かけ上病気が良くなること)が得られたとしても再発率が高いことが特徴とされています。

 スミフェロン(インターフェロンα)は日本では腎癌や骨髄腫、白血病、C型肝炎などの医薬品として、また、レトロビル(ジドブジン)はHIVウィルスの増殖を阻害する医薬品として薬事承認されております。現在本邦において、これらの医薬品はATLに対して保険適応外ですが、インターフェロンα皮下投与及びジドブジン経口投与の併用療法(以下IFNα/AZT療法)は、海外では米国、英国、フランスなどで観察研究が行われ標準治療の一つとされております。

 IFNα/AZT療法は、これまでの研究で有効性が高いとされるATLの病型(症状を有するくすぶり型又は予後不良因子を有さない慢性型)に対し、臨床的有効性の評価が行われている治療方法です。



2.高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術(産科婦人科)

 子宮腺筋症は、子宮体部の筋肉層(以下、子宮筋層)内に発生した子宮内膜症です。また、子宮内膜症は、本来は子宮内面にできる内膜が別の場所に発生し様々な症状を引き起こす病気です。この内膜は、通常であれば定期的にはがれ落ち血液と一緒に排出されますが、子宮筋層内に発生した内膜は定期的にはがれ落ちて子宮筋層内に留まり血液の固まりとなってしまいます。このことにより子宮が過度に腫大し過多月経や月経困難、下腹部痛、流産、早産、不妊症など生殖年齢の女性に様々な症状を呈します。

 子宮腺筋症に対して従来から行われている手術療法は子宮全摘術であり、これは子宮腺筋症組織が正常な子宮筋層内に複雑に入り込んでおり病変部分と正常筋層部分との境界が不明瞭であるため子宮腺筋症組織を正常な子宮筋層と分離して切除(核出)することは困難であったためです。
 これに対し、高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術は、高周波切除器を用いることにより子宮腺筋症組織のみを切除(核出)することができるため、この点において先進性を有しており臨床的有効性の評価が行われております。

 近年の晩婚化や出産年齢の高齢化などの社会的背景のもと、子宮温存を希望する子宮腺筋症の患者さんは年々増加し、本院では2014年から高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術を施行しております。2018年(平成30年)1月からは、茨城県、東京都、神奈川県の医療機関に次いで全国で4番目に「先進医療」として「高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術」を実施できる施設となっております。



3.ハイパードライヒト乾燥羊膜を用いた外科的再建術 再発翼状片(増殖組織が角膜輪部を超えるものに限る。)(眼科)

 眼表面を形成する角膜(黒目の部分)や強膜(白目の部分)及び結膜(主に瞼の裏側)は、刺激や細菌などから目を防御するための重要な役割を担っておりますが、難治性眼表面疾患には、従来からヒト由来の羊膜(凍結保存羊膜)が利用され保険適用となっております。これは、羊膜は血管がなく透明であり、炎症や線維化を抑える働きがあり、拒絶反応が少ないなどの特徴があるためです。
 難治性眼疾患の中には翼状片という病気があり、白目が黒目の部分に広がっていく病気であり、乱視が発生したり見えにくくなったりします。翼状片の根本治療には手術が必要となりますが、術後再発の多いことが報告されております。

 上記で説明した凍結保存羊膜は、薬品により有毒な細菌やウィルス等を死滅(殺菌)させておりますが、最近になり富山大学において、真空、遠赤外線、マイクロウェーブを組み合わせた乾燥方法により、全ての増殖性のある微生物をほぼ完全に死滅(滅菌)させることが可能となりました。この方法により開発された「ハイパードライ・ヒト乾燥羊膜(HD羊膜)」は、再発翼状片に対する術後治療に有効であるとの視点から、富山大学が中心となり「多施設共同研究」が開始され、この治療は厚生労働省から「先進医療」として認められました。

 秋田大学医学部附属病院においても富山大学の「多施設共同研究」に参加して、HD羊膜を用いた難治性眼疾患(再発翼状片)の治療を行うことが、厚生労働省から認められております。

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