病理診断科/病理部Division of Clinical Pathology

診療内容・特色

 病理診断科・病理部は、臨床医とともに病理・細胞診断を通して患者さんに尽くそうとする集団です。外科出身の病理医とスタッフ全員が総力を挙げて迅速かつ正確な報告ができるように日々努力しています。診療実績とおもな業務内容を紹介します。

診療実績

2013年度の病理組織診断件数は6,679件、細胞診断件数は6,492件、術中迅速診断件数は767件です。細胞診断件数は、ほぼ横ばい状態ですが、病理組織診断件数と術中迅速診断件数、また免疫組織検査も1,484件と年々増加が目立ちます。

迅速診断 免疫組織 病理組織診断 細胞診断 病理解剖
2010年度 724 1221 5992 6701 26
2011年度 715 1097 6207 7197 26
2012年度 737 1250 6345 6891 35
2013年度 767 1484 6679 6492 30
2014年度 801 1633 6870 6610 31
2015年度 812 1711 6789 6207 24
2016年度 805 1690 6841 6136 25

おもな業務内容

Ⅰ.病理組織診断
内視鏡検査、婦人科、整形外科、皮膚科などで採取した生検材料や、手術で摘出された腫瘍などが対象となります。ホルマリン固定、脱脂、脱水、パラフィン包埋後、2ミクロン(1,000分の2ミリ)に薄切りしガラスに貼付け染色後、病理専門医が顕微鏡で観察し、診断します。通常のヘマトキシリンエオジン(H.E.)染色だけでは判断し難い症例では、特殊染色や標本上で抗原抗体反応を起こし細胞の詳細を検索する免疫抗体法を行い、診断します。

Ⅱ.細胞診断
子宮頚部、内膜などの剥離細胞、乳腺や甲状腺などの穿刺吸引細胞、尿や胸水・腹水などが対象となります。これらをガラスに塗抹、パパニコロウ染色後に顕微鏡で観察してがん細胞の有無、炎症の程度を細胞検査士が診断します。消化器系、婦人科系腫瘍切除術中に提出された腹腔洗浄細胞診で良悪性の鑑別が困難な細胞が見られた場合、免疫細胞学的検索を追加し、より正確な報告を目指しています。 また、2008年から施行していた尿や胆汁細胞診に加え、2014年12月から婦人科細胞診においても、保存液の入った容器に病変部材料を採取し、細胞診断用標本を作製する液状化検体細胞診(Liquid based cytology:LBC)を導入し、より確実な細胞の採取と標本の作製に努めています。

Ⅲ.術中迅速診断
手術場で取られた腫瘍の良悪性の有無やリンパ節転移の有無、また腫瘍が取りきれているかなどを手術中に行う検査です。病理組織診断は、通常1-2日を要しますが、凍結切片作製という特殊な技術を用い、約15分で結果を報告します。さらにほぼ全症例を対象に捺印細胞診を併用し、診断精度向上に努めています。

Ⅳ.術中迅速免疫染色
近年、化学療法や分子標的治療の開発が進み、 がんの種類、進行度に沿った最適な手術や治療法が選択されるようになり、今まで以上に病理専門医、細胞検査士が治療法選択の判断に直結する機会が増加しています。当院では、2011年から術中迅速診断において免疫化学的検索が必要とされる症例においては、電界非接触撹拌迅速免疫染色技術(R-IHC)を併用し、タイムリーで精度の高い病理診断情報を手術場の臨床医と患者さんに提供できるよう努めています。

Ⅴ.病理解剖関連業務
不幸にして亡くなられた患者さんの生前のご意志やご家族の承諾のもとに行われます。死因、どのくらい病気が進行していたか、治療の効果などを明らかにします。後日、臨床医と病理医による臨床病理検討会(CPC)により詳細な検討が行われ、最終的な病理診断が公表されます。

Ⅵ.院内電子カルテ病理診断バーチャル画像の開示
2010年から電子カルテ上に病理診断用のバーチャル画像を開示し、日常診療を支援しています。

Ⅶ.術中迅速遠隔病理診断
県内の2病院と専用回線を結び、テレパソロジーによる術中迅速遠隔病理診断を施行し、地域の外科治療を支援しています。

Ⅷ.病理診断科外来
患者さんや主治医のご希望があれば、病理診断科外来で、病理専門医から病理診断の結果や内容の説明を受けることができます。

スタッフ一覧

役割 職種 氏名 兼務・所属 資格
部長・科長 病院教授 南條 博   病理専門医・指導医
細胞診専門医
外科認定医
副部長 助教 山本 洋平   病理専門医
  助教 廣嶋 優子   病理専門医
細胞診専門医
  医員 鈴木 麻弥    
  医員 田口 歩美    
主任   伊藤 智   臨床検査技師
細胞検査士
    鈴木 世志子   臨床検査技師
    成田 かすみ   臨床検査技師
細胞検査士
    三澤 桃子   臨床検査技師
    三浦 文仁   臨床検査技師
細胞検査士
  事務系補佐員 嵯峨 和美    
    成田 律子    

主な設備あるいは検査等可能な項目

1.おもな病理検体提出科
消化器内科、血液内科、消化器外科、呼吸器外科、食道外科、乳腺・内分泌外科、脳神経外科、心臓血管外科、小児外科、産科婦人科、耳鼻科、泌尿器科、皮膚科、整形外科、歯科口腔外科

2.おもな細胞診検体提出科
産科婦人科、泌尿器科、呼吸器外科、乳腺・内分泌外科、呼吸器内科、老年内科、消化器外科、消化器内科


黒はHER2遺伝子のシグナル、はセントロメア17のシグナル
HER2/セントロメア17比 4.4 (陽性判定基準比 > 2.2)

秋田県内で唯一、当院で行われている検査

1) 分子標的治療薬の選別を目的とした遺伝子検査 (DISH法)
HER2過剰発現が確認された乳癌および胃癌に対する分子標的治療薬としてトラスツズマブ(ハーセプチン)が承認されています。この治療薬の投与対象選別のための検査方法として2011年から保険適用となった「DISH法(Dual Color in situ hybridization)」により、対象遺伝子の増幅比を判定しています。

2) 電界非接触撹拌迅速免疫染色技術(R-IHC)を併用した術中迅速診断
秋田県産業技術センターや秋田大学、医療系ソフトウェア開発会社アクトラス(横手市)が共同開発した電界非接触撹拌迅速免疫染色装置(R-IHCラピート)は、従来の免疫組織学的染色で約120分かかった検査法に比べ、約20分と染色時間が大幅に短縮し、手術中にがんの悪性度や進行度を的確に診断することが可能となりました。この装置を使用した検査を術中に併用することにより、術式の決定や治療薬選択が可能となり、患者さんの身体的負担や再手術リスクの低減に大きく貢献することが期待されます。

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