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15.秋田大学医学部附属病院における研修医が単独で行いうる医療行為の基準

秋田大学医学部附属病院における卒後臨床研修において、安全管理・医療事故防止の観点から、研修医が、指導医・上級医の同席なしに単独で行ってよい医療行為(特に、処置、処方)の基準を示す。実際の運用に当たっては、個々の研修医の技量はもとより、各診療科・診療部門における実状を踏まえて検討する必要がある。各々の手技については、例え研修医が単独で行ってよいと一般的に考えられるものであっても、施行が困難な場合は無理をせずに上級医・指導医に任せる必要がある。なお、ここに示す基準は通常の診療における基準であって、緊急時はこの限りではない。

研修医が単独で行ってよい処置・処方の基準

I.診察

研修医が単独で行ってよいこと
  1. 全身の視診、打診、触診
  2. 簡単な器具(聴診器、打腱器、血圧計などを用いる全身の診察)
  3. 直腸診
  4. 耳鏡、鼻鏡、検眼鏡による診察 診察に関しては、組織を損傷しないように十分に注意する必要がある
研修医が単独で行ってはいけないこと
  1. 内診

II.検査

1.生理学的検査
研修医が単独で行ってよいこと
  1. 心電図
  2. 聴力、平衡、味覚、嗅覚、知覚
  3. 視野、視力
  4. 眼球に直接触れる検査(眼球を損傷しないように注意する必要がある)
研修医が単独で行ってはいけないこと
  1. 脳波、誘発電位
  2. 呼吸機能(肺活量など)
  3. 筋電図、神経伝導速度
2.内視鏡検査など
研修医が単独で行ってよいこと
  1. 喉頭鏡
研修医が単独で行ってはいけないこと
  1. 直腸鏡
  2. 肛門鏡
  3. 食道鏡
  4. 胃内視鏡
  5. 大腸内視鏡
  6. 気管支鏡
  7. 膀胱鏡
3.画像検査
研修医が単独で行ってよいこと
  1. 超音波 内容によっては誤診につながる恐れがあるため、検査結果の解釈・判断は指導医と協議する必要がある。
研修医が単独で行ってはいけないこと
  1. 単純X線撮影
  2. CT
  3. MRI
  4. 血管造影
  5. 核医学検査
  6. 消化管造影
  7. 気管支造影
  8. 脊髄造影
4.血管穿刺と採血
研修医が単独で行ってよいこと
  1. 末梢静脈穿刺と静脈ライン留置 血管穿刺の際に神経を損傷した事例もあるので、確実に血管を穿刺する必要がある
    困難な場合は無理をせずに指導医に任せる
  2. 動脈穿刺 肘窩部では上腕動脈は正中神経に伴走しており、神経損傷には十分に注意する
    動脈ラインの留置は、研修医単独で行ってはならない
    困難な場合は無理をせずに指導医に任せる
研修医が単独で行ってはいけないこと
  1. 中心静脈穿刺(鎖骨下、内頚、大腿)
  2. 動脈ライン留置
  3. 小児の採血 特に指導医の許可を得た場合はこの限りではない
    年長の小児はこの限りではない
  4. 小児の動脈穿刺 年長の小児はこの限りではない
5.穿刺
研修医が単独で行ってよいこと
  1. 皮下の嚢胞
  2. 皮下の膿瘍
  3. 関節
研修医が単独で行ってはいけないこと
  1. 深部の嚢胞
  2. 深部の膿瘍
  3. 胸腔
  4. 腹腔
  5. 膀胱
  6. 腰部硬膜外穿刺
  7. 腰部くも膜下穿刺
  8. 針生検
6.産婦人科
研修医が単独で行ってはいけないこと
  1. 膣内容採取
  2. コルポスコピー
  3. 子宮内操作
7.その他
研修医が単独で行ってよいこと
  1. アレルギー検査(貼付)
  2. 長谷川式痴呆テスト
  3. MMSE
研修医が単独で行ってはいけないこと
  1. 発達テストの解釈
  2. 知能テストの解釈
  3. 心理テストの解釈

III.治療

1.処置
研修医が単独で行ってよいこと
  1. 皮膚消毒、包帯交換
  2. 創傷処置
  3. 外用薬貼付・塗布
  4. 気道内吸引、ネプライザー
  5. 導尿 前立腺肥大などのためにカテーテルの挿入が困難な場合は無理をせずに指導医に任せる
    新生児や未熟児では、研修医が単独で行ってはならない
  6. 浣腸 新生児や未熟児では、研修医が単独で行ってはならない
    潰瘍性大腸炎や老人、その他、困難な場合は無理をせずに指導医に任せる
  7. 胃管挿入(経管栄養目的以外のもの) 反射が低下している患者や意識のない患者では、胃管の位置をX線などで確認する
    新生児や未熟児では、研修医が単独で行ってはならない
    困難な場合は無理をせずに指導医に任せる
  8. 気管カニューレ交換 研修医が単独で行ってよいのはとくに習熟している場合である
    技量にわずかでも不安がある場合は、上級医師の同席が必要である
研修医が単独で行ってはいけないこと
  1. ギブス巻き
  2. ギブスカット
  3. 胃管挿入(経管栄養目的のもの) 反射が低下している患者や意識のない患者では、胃管の位置をX線などで確認する
  4. 直流除細動器の使用 救急のための緊急時には差し支えない
  5. 人工呼吸器の使用
2.注射
研修医が単独で行ってよいこと
  1. 皮内
  2. 皮下
  3. 筋肉
  4. 末梢静脈(ただし向精神薬と抗悪性腫瘍剤は除く)
  5. 輸血 輸血によりアレルギー歴が疑われる場合には無理をせずに指導医に任せる
  6. 関節内
研修医が単独で行ってはいけないこと
  1. 向精神薬及び抗悪性腫瘍剤の静脈注射
  2. 中心静脈(穿刺を伴う場合)
  3. 動脈(穿刺を伴う場合) 目的が採血ではなく、薬剤注入の場合は、研修医が単独で動脈穿刺をしてはならない
3.麻酔
研修医が単独で行ってよいこと
  1. 局所浸潤麻酔 局所麻酔薬のアレルギーの既往を問診し、説明・同意書を作成する
研修医が単独で行ってはいけないこと
  1. 脊髄麻酔
  2. 硬膜外麻酔(穿刺を伴う場合)
4.外科的処置
研修医が単独で行ってよいこと
  1. 抜糸
  2. ドレーン抜去 時期、方法については指導医と協議する
  3. 皮下の止血
  4. 皮下の膿瘍切開・排膿
  5. 皮膚の縫合 顔面などの高度の技術を要する縫合の際には指導医に任せる
研修医が単独で行ってはいけないこと
  1. 深部の止血 応急処置を行うのは差し支えない
  2. 深部の膿瘍切開・排膿
  3. 深部の縫合
  4. 熱傷の処置
  5. 気管切開
5.処方
研修医が単独で行ってよいこと
  1. 一般の内服薬 処方箋の作成の前に、処方内容を指導医と協議する
  2. 注射処方(一般) 処方箋の作成の前に、処方内容を指導医と協議する
  3. 理学療法 処方箋の作成の前に、処方内容を指導医と協議する
研修医が単独で行ってはいけないこと
  1. 内服薬(抗精神薬)
  2. 内服薬(麻薬) 法律により、麻薬施用者免許を受けている医師以外は麻薬を処方してはいけない
  3. 内服薬(抗悪性腫瘍剤)
  4. 注射薬(抗精神薬)
  5. 注射薬(麻薬) 法律により、麻薬施用者免許を受けている医師以外は麻薬を処方してはいけない
  6. 注射薬(抗悪性腫瘍剤)

IV.その他

研修医が単独で行ってよいこと
  1. インスリン自己注射指導 インスリンの種類、投与量、投与時間はあらかじめ指導医のチェックを受ける
  2. 血糖値自己測定指導
  3. 診断書・証明書作成 診断書・証明書の内容は指導医のチェックを受ける
研修医が単独で行ってはいけないこと
  1. 病状説明 正式な場での病状説明は研修医単独で行ってはならないが、ベッドサイドでの病状
    に対する簡単な質問に答えるのは研修医が単独で行って差し支えない
  2. 病理解剖
  3. 病理診断報告
  4. 入退院の決定
  5. 他施設への患者紹介