当センターについて

秋田大学医学部附属病院 腎疾患先端医療センター設置の意義

糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎,高血圧による腎硬化症などによって腎機能が次第に失われ,血液透析や腎移植などの腎代替療法を必要とする患者が,わが国のみならず世界的に増加しています。2011年末のわが国の透析患者数は30万人以上となりました。秋田県内では2,000名の透析患者と200名の腎移植患者がいます。

透析導入時の平均年齢は年々高齢化し,1991年58.1歳でしたが2011年には67.8歳となり,20年間で10歳高齢化しています。秋田県は高齢化が進み,高齢者の透析導入者が今後さらに増加することが予想されます。都道府県別の腎不全による死亡率調査によると,人口10万人あたりの腎不全死亡率は,秋田県男性が平成12年全国で第9位にあったのが平成22年第5位に,女性は8位から1位に悪化しました。高齢化の進む秋田県においては腎不全対策が急がれます。

腎不全の最良な治療手段である腎移植に関しては,秋田大学は年間20例以上の腎移植を行っており,これは東北圏内第1位です。県人口あたりおよび腎不全患者人数あたりの移植数は愛媛県に次いで全国第2位です。


当センターの設立趣旨

  • 慢性腎不全の原因疾患である糖尿病性腎症,慢性糸球体腎炎,腎硬化症の発症予防,病状悪化の抑制対策,および県民ならびに医療者に対する啓発活動を行います。原因疾患は多領域にわたるため,専門領域を超えて多科共同で行います。
  • 初期の腎臓病を発見,治療し,慢性腎不全への移行を阻止するよう,検診による早期発見,初期治療,進展予防を多科共同で行います。
  • 腎代替療法が必要になった場合,適切な代替療法を選択できる社会構造となるよう,県民ならびに医療者に対する啓発活動と代替医療の実践を行います。
  • 生活の質改善と慢性腎不全による死亡率低下を目的として,腎移植の普及啓発と実施に務めます。結果的に透析に比べて医療費削減に貢献できるよう努めます。
  • 遺伝子解析による免疫抑制薬の個別投与設計や,移植後糖尿病,高尿酸血症,脂質異常症の関連遺伝子検索,移植後の膀胱移植尿管逆流症,先天性腎尿路疾患に対する解析など,本邦の他の腎疾患施設,腎移植施設では検討されていない臨床事象を研究し,移植腎生着率の向上を目指します。これらの研究成果を飽きたから世界に発信します。
  • 生体腎移植のみならず,献腎移植普及のため,臓器提供の啓発活動を行います。
  • 超高齢腎不全患者の在宅透析支援システムを構築します。
  • 腎不全の最多疾患である糖尿病性腎不全に対する膵臓移植の県内実施のための環境整備をしていきます。国内の膵臓移植専門家と協議し,県内での膵腎移植の実践を検討していきます。

センター長の挨拶