患者さん向け

慢性腎臓病とは その1

2014/01/25

従来,腎臓の病気は様々に分類されていて,患者さんにとっては分かりにくいものでした。

一例を挙げるならば,


検診で蛋白尿と言われたAさん,病院の腎臓外来を受診したところ,
医師から「慢性糸球体腎炎の可能性があります」と言われました。

入院して腎生検を受けたところ,担当医から「AさんはIgA腎症です」と言われました。

それから10年以上が経過して,Aさんは「慢性腎不全が進行してきましたね」と言われました。


Aさんは混乱しました。

「…慢性糸球体腎炎で,IgA腎症で,そして慢性腎不全?」


腎臓の病名は分かりにくいものなのです。

臨床経過から付けられる臨床診断名,腎生検をすると付けられる組織診断名,
そして現在の腎臓の機能から付けられる機能診断名があります。
他にも原因から付けられる病院診断名もあるのです。

Aさんの場合,蛋白尿や血尿が続くという経過から「慢性糸球体腎炎」という臨床診断がつsきました。
腎生検して顕微鏡的についたのが「IgA腎症」という組織診断です。
そして,時間が経過して腎機能が低下したことから「慢性腎不全」という機能診断がついたのです。
腎臓に起こっていることは1つだけなのですが,3つの病名が同時についてしまうのです。


これは患者さんのみならず,腎臓を専門としない医療従事者にとっても分かりにくいものでした。

そこで,より分かりやすくするために「慢性腎臓病」という概念が登場したのです。


続きます。読んでいただける方は次のページをクリックしてください。文責: 奥山 慎