これまで慢性腎臓病としてひとくくりに話してきましたが,実際の腎臓病は様々な種類があります。
それらをまとめて「慢性腎臓病(CKD)」と呼んでいるのです。
今回は,様々な腎臓病のうち代表的なものを挙げて簡単に説明します。
なお,近いうちにそれぞれの腎臓病についても詳しく説明するつもりです。
1. 慢性糸球体腎炎
血尿や蛋白尿が持続する腎臓の病気です。腎臓の見た目,形や大きさはほとんど変わらないのですが
顕微鏡レベルで糸球体という腎臓の血液濾過装置に炎症が起こっています。その炎症は何十年にもわたり続きます。
糸球体とは,腎臓の最も大切な構造物で,血液を濾過する装置です。1個の腎臓に約100万個の糸球体があります。
心臓が1回ドクンと脈をうてば,その約4分の1は腎臓に流れ込み,それらは糸球体に到達します。
糸球体では血液の中の老廃物や不要物を中心に濾過します。それゆえ,腎臓を通過した血液は綺麗になるのです。
その濾過装置である糸球体に炎症が続くのが慢性糸球体腎炎です。
炎症が続けば,糸球体はやがて耐えられなくなりつぶれてしまいます。糸球体は再生できません。
生まれたときに200万個あった糸球体は徐々に数を減らしていきます。
そして,最終的に機能する糸球体の数が10%程度になれば末期腎不全となり透析療法が必要となります。
慢性糸球体腎炎の治療法は確立してきており,早期に発見できれば,かなりの確率で末期腎不全を回避できます。
実際,慢性糸球体腎炎から透析導入となった患者数は年々減っています。
いま(2014年1月5日現在),日本では30万人以上の患者さんが透析療法を受けています。
慢性腎臓病の行き着く果ては「末期腎不全」です。生まれ持った腎臓の機能を100パーセントとすると
末期腎不全では10パーセント未満まで機能が低下しています。
ここまで進むと,透析療法が必要不可欠となってしまうのです。
さて,この「末期腎不全」に至る原因はどのようなものでしょうか。
これまで慢性腎臓病という言葉でひとくくりにしてましたが,少しだけ分類したいと思います。
【末期腎不全となり透析導入の原因となった腎疾患】
第1位 糖尿病性腎症
第2位 慢性糸球体腎炎
第3位 腎硬化症

日本透析医学会ホームページより引用
上記の通りです。
糖尿病性腎症とは,糖尿病のために起こった腎障害です。
言い方を換えれば,糖尿病のために末期腎不全に至っていると言えます。
慢性糸球体腎炎は,いわゆる腎臓の病気であり血尿・蛋白尿がつづく病気です。
腎硬化症は,高血圧による腎障害です。
このように,1位と3位は生活習慣が少なからず関与する病気です。
逆に言えば,生活習慣を改善させられれば,
糖尿病,高血圧の患者さんでも末期腎不全への進展を予防することが十分に可能です。
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