秋田県がん診療連携協議会

会長挨拶

秋田大学医学部附属病院長 渡邊 博之

秋田大学医学部附属病院長
渡邊 博之

秋田県のがん死亡率は、平成9年に全国第1位となり、それ以降30年近くワーストが続いています。

その原因として、秋田県の高齢化の影響もありますが、年齢調整をおこなっても全国でトップクラスが続いており、秋田県における、がん対策は長年にわたる喫緊の重要課題であります。

がん対策としては、がん対策基本法(平成18年法律第98号)の規定に基づいて平成19年6月に国のがん対策推進基本計画が閣議決定されました。秋田県でも平成20年4月に秋田県がん対策推進計画が策定され、令和6年度から令和11年度までの6年間は「第4期秋田県がん対策推進計画」に基づいてがん対策が行われます。

第4期秋田県がん対策推進計画の全体目標は、『誰一人取り残さないがん対策』を推進し、がんになっても安心して暮らせる地域社会の実現とし、分野別目標として、科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実、患者本位で持続可能ながん医療の提供、がんとともに尊厳を持って安心して暮らせる地域社会の構築の3つを掲げています。

全体目標のもと、「がん予防」「がん医療」「がんとの共生」とそれらを支える「基盤の整備」を施策の柱とし、特に「がん医療」は主な取組として、以下のものが掲げられます。

  • 標準的がん医療の提供や専門性の高い医療の提供体制整備
  • 多職種連携によるチーム医療の推進
  • 質の高いリハビリテーション提供体制の整備
  • 緩和ケア提供体制の整備
  • 妊よう性温存療法や温存後生殖補助医療への支援
  • 希少がんに関する専門機関との連携
  • 小児・AYA世代の切れ目のないがん医療の充実
  • 地域の医療機関及び介護事業所等との連携の強化

これらの事業を推進するため、平成19年1月より秋田県においてもがん診療連携拠点病院の指定・整備がなされ、平成19年7月23日に当院を含む秋田県内11の医療機関の病院長、秋田県医師会長、秋田県健康福祉部長から成る秋田県がん診療連携協議会が発足しました。

当協議会は、秋田県におけるがん診療連携体制などがん医療に係る情報交換、がん登録事業に関する情報交換と基盤整備、がん診療に携わる医療従事者に対する緩和ケア研修会の開催、相談支援・情報提供などを事業として行ってまいりました。また、医療機関の間の連携だけでなく、行政や患者さん・ご家族との連携も大切であると考え、各作業部会には委員として県庁職員に参加いただき、部会によっては、患者会の方に参加いただいており、医療提供者およびサービスを受ける方たち双方からの意見を今後も歓迎していきます。これらの事業はがん診療の均てん化と質の向上をはかる上で今後ますます重要となることから、当協議会の責任と重要性もさらに大きくなると考えられます。

秋田県がん診療連携協議会の活動が、秋田県のがん医療の向上と医療体制の充実のために貢献できるよう、関係の皆さまのご協力をどうぞ宜しくお願いいたします。