がんゲノム診療センター Center for Cancer Genome Diagnosis & Treatment

センター長あいさつ

がんゲノム診療センターの開設について ―「What is your cancer?」―

センター長 教授:柴田 浩行

 2021年4月、医学部附属病院に当センターが開設されました。静かな船出でしたが、非常に画期的な出来事です。しかし、多くの医療従事者にとって「ゲノム」という言葉は未だなじみが少ないことでしょう。Genome(ジノーム)とはGene(ジーン、遺伝子)+Ome(オーム、総体)の造語で、遺伝子の総体を意味しており、日本語ではゲノムと読み慣わされます。遺伝子を網羅的に解釈することとほぼ同義です。遺伝子解析が研究者の領域から医療現場に降臨する日が来るとは、私には感慨深いものがあります。進行がんを相手にしようと定めて、すぐにこの難敵を相手にすることの困難さを悟ります。相手を知ることの方が先決でした。今日でもがんは百人百様です。これを博物学的に記載するのは古典的な生物学の手法です。一方で生命現象を物理学的に捉えようとしたのが、エルヴィン・シュレディンガーです。計測困難な量子に関する理論物理学の大家です。1943年に「What is life?」という有名な一書を著しています。自然界はエントロピー増大の法則に従いますが、生命体はこれに抗して一定の秩序と恒常性を有しています。その源が遺伝子と遺伝にあるという予言的な洞察です。この予言から半世紀、20世紀の後半には分子生物学が多くの生命科学の謎を解明しました。そして、2003年にはヒトゲノムの解読が終了し、シュレディンガーの先見性に倣った「What is cancer?」という問いに、我々も分子生物学的にいくつかの解答を用意できるようになりました。さらに「What is your cancer?」という極めて臨床的な問いに答えようというのが、まさに、この「がんゲノム診療」なのです。あなたのがんは、こういう異常があって暴走をしているということは、ほぼ100%診断できます。ただ、その異常を是正する薬剤が保険収載されていないとか、化合物が基礎研究の領域を脱していないなどの理由で、直ちに恩恵を受けられる患者さんは現在、約10%にとどまっています。しかし、これゆえに、「がんゲノム診療」を受けても意味がないという結論に帰着するのは些か早計です。また、網羅的といっても、たかだか300個のがん関連遺伝子を調べるに過ぎないのですが、得られる情報量は膨大です。したがって、混沌からカオスへといった具合に「訳が分からん」という状況に陥りがちです。情報科学の進歩と手助けが必要です。ただ、ゲノムリテラシーが低いと見なされることは、がん医療の領域において先進性に欠けると判断されます。未だ、秋田大学の「がんゲノム検査」の出検数は周辺大学と比較しても約半数と低い状況にあります。がんゲノム診療センターとしては検査の浸透を図る必要があります。そして、「クスリ」が無いというジレンマは創薬事業を活性化させます。それは新型コロナウイルスワクチン開発のワープスピードを見ても自明です。必要は「発明の母」なのです。今回のワクチン開発では日本は完全に後手を踏みました。惨状を前に我々はワクチンが来ないと指をくわえているしかないのです。この轍を踏んではいけません。日本も薬剤開発にもっと投資する必要があります。「がんゲノム検査」ではゲノム情報と診療情報をセットで、国立がん研究センターのC-CATというデータベースに登録する建付けになっています。それは診断研究や創薬研究に役立てられます。その点において患者さんの志は将来に活かされ、決して無駄にはなってはいないのです。

診療内容・特色

 がんゲノム診療センターでは進行がんで標準治療が無効、または毒性中止で終了した方や標準治療が確立していないがんの患者さんの癌組織から抽出したDNAを調べて、変異を起こしている遺伝子がないかを診断します。その結果に基づいて、変異遺伝子産物を制御する分子標的薬を探します。分子標的薬が見つかった場合、それらを用いた治療を行います。保険適応になっていない薬剤の場合は臨床試験や患者療養申出療養制度などを受けられないか探索します。現在のところ、遺伝子変異は確実に見つかりますが、使用可能な薬剤に結びつく割合は約1割です。

「がん遺伝子パネル検査」の詳細については,こちらをご覧ください。

がん遺伝子パネル検査の実績

スタッフ一覧

柴田 浩行 役割 センター長 職種 教授
福田 耕二 役割 副センター長 職種 助教
今野 麻衣子 役割 がんゲノム医療コーディネーター 職種 看護師長
納富 理絵 役割 遺伝看護専門看護師 職種 看護師
寺田 美保 役割 専任事務担当 職種 医師事務作業補助者

がんゲノム診断カンファレンス(エキスパートパネル)開催予定

がんゲノム診療センター運営協議会

お知らせ

※準備中

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